はじめに
生理的欲求は生命を維持していく上で必要不可欠な欲求です。ここでは『ITエンジニアとして生活を送っていく上で必要不可欠な欲求』と定義します。
普通の会社で、普通のITエンジニアとして生活を送っていれば、まず仕事で意識することはない欲求です。
デスマーチによる睡眠不足
失敗例
度重なるデスマーチにより十分な睡眠・休養が取れなくなった。メンバーの頭の中は『休みたい』という思考で一杯となった。彼らにできるのはプロジェクトが早く終わるよう祈ることだけであった。成功例
プロジェクトマネージャーは、引き継いだ案件の仕様不備に即座に気が付いた。このままでは炎上してしまうと判断し、メンバーや客先に相談。納期の調整やリソースの再配分を行った。
幸か不幸か、私はデスマーチや炎上と呼ばれる案件には参加したことがありません。しかし諸先輩方の有り難い言葉から当時の危機的状況を伺い知ることはできます。
- 吸引力の変わらないたったひとつの寝袋。
- 納期までエナジードリンクで持ちこたえるんだ……!
命を、健康を、大事にして下さい。病気になったらITエンジニアとしてだけでなく、社会人として生活ができなくなってしまいます。
砂漠の水に学ぶ
失敗例
ネット回線は非常に遅い。セキュリティ上ブロックされているサイトの方が多い。参考書もドキュメントもローカルには存在しない。成功例
ネット回線はその存在を意識させないほど速い。セキュリティ・ウィルス対策は万全。開発者に必要なほとんどのサイトにアクセスが可能となっている。
マーケティングでの有名な説明があります。砂漠で水を売れば確実に売れるというものです。
水道は現代人にとって当たり前のインフラです。蛇口をひねれば水が出てきます。あって当たり前。ないことが考えられない。そんな存在です。
電気・ガス・水道などと同様、ネット回線はITエンジニアにとって、なくてはならないインフラです。何を調べるにしてもネットで検索。公式のドキュメントは読めて当たり前。インストールもオンライン。そんな存在です。
普及率と供給量は正常か
ネット回線がない時代もあった? そうですね、水道がない時代もありました。昔の人が頑張って頑張って、今の便利な世の中ができました。
今も水道がない場所があります。悪いことではありません。水が綺麗だったり、井戸が普及していたりするのでしょう。ただ人が住んでいる以上、飲水が満足に手に入らない環境ではないですよね。何らかの水を得る手段は確保されています。
正確には人間が必要としているのは、生きるのに必要な『水分』です。ITエンジニアが必要としているのは、設計やプログラミングに必要な『情報』です。
情報さえ得られるなら、本(物理)だろうがオフラインドキュメントだろうが生きてはいけます。古い社内システムの改修案件ではネット上の情報よりも、本棚の書籍の方が遥かに役に立つことがあります。
人によって個人差がありますが、人間は約20%の水分を失うと脱水症状となり死亡するそうです。1日に必要な摂取量もある程度は算出できます。ITエンジニアは何%の情報を遮断したら死亡するのでしょうか。
日々の摂取量不足で緩やかにミイラ化している可能性もあります。怖いですね。
アクセス制限は適切か
セキュリティ上、どの現場に行ってもアクセス制限はあります。
正当な理由があってアクセス制限されている場合は問題ありません。物理的なUSB接続の禁止、本番環境への接続制限などです。これらの対応はITエンジニアを守るために必要です。逆に何もしていない現場は心配です。
問題は知識やインフラ整備の不足によって、旧式環境の運用や無意味なアクセス制限が行われている場合です。そもそもネット回線の重要性が分からない、アクセス制限が必要な作業と不要な作業が区別されていないなどです。
『水不足のため○日から○日まで給水制限します。貯水量のデータは…』などと言われれば納得もできます。しかし理由もなく長期間の給水制限が実施されたら、大変なことになるでしょう。
開発環境の行末
残念ながら統計は取れないと思いますが、インターネットが不便なく使える環境はどのくらいあるのでしょうか。硬直した現場では昔の人のように頑張らないと、便利に使えるようにはならない気がします。
それか車が馬車に取って代わったように、ITエンジニアが居着かない企業から消えていくのかもしれません。時代の流れが答えを出すのでしょう。
おわりに
ITエンジニアの皆さんは『これがないとITエンジニアとして生きていけない』というものはありますか?
無人島のような環境に1つだけ何かを持っていけるとしたら、何を持っていきますか?